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従業員から有給休暇の買取の相談を受けた
有給休暇の買取は違法って聞いたけど
従業員とのトラブルは避けたい・・・
皆さんは、「有給休暇の買取」について、従業員さんから問い合わせを受けたことはありますか。
実は、有給休暇の買取は原則禁止なんです。
ところが例外もあります。
そこで今回は、「有給休暇の買取」について紹介します。
今回の記事では、
について解説していきます。
初心者の方に向けて、基本を解説しますのでこの機会に情報をチェックしていただければと思います。
社会保険労務士 志賀佑一
社会保険労務士志賀佑一事務所代表。
経営者、従業員、会社がともに3WINの組織づくりをモットーに、人材が定着する会社づくりのサポートに尽力。
社会保険労務士として独立後は人事労務支援に加え、各種研修や制度導入などを通じてリテンション(人材流出防止)マネジメント支援にも注力している。
有給休暇の買取とは、会社が従業員の有給休暇を買い取る制度のことです。
有給休暇の代わりに、有給休暇の残日数相当の賃金額を支払います。
冒頭でも言いましたが、有給休暇の買取は原則禁止となります。
そもそも有給休暇は、
ことが目的です。
そのため休暇の代わりに賃金を支給することは制度の趣旨に反していると考えられています。
ただし、全ての買取りが違法というわけではありません。
例外的に有給休暇の買取が認められるケースもあります。
有給休暇の買取は認められるのは、前提として、
ようなケースです。
例外的に買取が認められるケースは次の3つです。
退職するときに有給休暇が余っているときは、会社に買い取ってもらうことが可能です。
退職後には有給休暇の権利を行使することができなくなるため、未消化の日数を買い上げることが認められています。
労働基準法の規定を上回って付与した分の有給休暇は買取りしても問題ありません。
例えば勤続年数が1年5ヶ月の従業員に15日の有給休暇が付与された場合、法定の11日は買取り禁止です。
ですが、福利厚生の4日分に関しては買取りが可能となります。
時効によって消滅する有給休暇は買い取りが認められています。
時効消滅した分の有給休暇は利用できないため、その分の有給休暇を買い取っても従業員には何ら不利益にならないからです。
有給休暇の買取メリットは以下の通りです。
会社は、従業員が有給休暇を取得している間も社会保険料を負担する義務があります。
しかし有給休暇を買い取ることで、
ことが可能になります。
従業員が退職する際、未消化の有給休暇が多く残っているケースは少なくありません。
その場合、従業員の中には、
と感じ、会社に対して不満を抱く可能性があります。
さらに退職を取り消すなど、トラブルに発展するリスクもあります。
有給休暇の買取を行うことで、従業員に経済的な補償を行い円満な退職を実現することができます。
有給休暇の買い取りは、企業と従業員の双方にとってメリットがある一方で、従業員の権利を侵害する可能性も考えられるため、慎重な検討が必要です。
有給休暇買取の金額は、企業によって計算方法が異なりますが、一般的には以下の3つの方法が用いられます。
計算方法
月給を所定労働日数で割った金額を1日あたりの賃金とし、これに有給休暇の日数を掛けます。
計算例
月給20万円、所定労働日数20日、買取する有給休暇が5日の場合
1日あたりの賃金:20万円 ÷ 20日 = 1万円
買取金額:1万円 × 5日 = 5万円
計算方法
過去3ヶ月間の賃金の総額を、その期間の総日数で割った金額を1日あたりの賃金とし、これに有給休暇の日数を掛けます。
計算例
過去3ヶ月間の賃金の総額が60万円、総日数が90日、買取する有給休暇が5日の場合の場合
1日あたりの賃金:60万円 ÷ 90日 = 6,667円
買取金額:6,667円 × 5日 = 33,335円
計算方法
社会保険の算定に用いられる標準報酬月額を30で割って計算し、これに有給休暇の日数を掛けます。
計算例
標準報酬月額が24万円、買取する有給休暇が5日の場合の場合
1日あたりの賃金:24万円 ÷ 30日 = 8,000円
買取金額:8,000円 × 5日 = 40,000円
有給休暇買取の金額は、法律で厳密に定められていないため会社が自由に設定することもできます。
例えば、「1日あたり5,000円」のように一律の金額を定め、就業規則に明記する方法も可能です。
この場合、従業員の職種や貢献度に関わらず、同じ日数分の有給休暇に対して同額の買取金額が支払われます。
ただし、従業員とのトラブルを避けるため、事前に金額設定の根拠や算出方法を明確にしておくことが重要です。
有給休暇買取の際にはいくつかの注意点があります。
会社が従業員から有給休暇の買取を求められた場合、必ず応じる義務はありません。
買取については法的な義務規定がないからです。
そのため会社は、
して、買取に応じるかどうかを決定することができます。
ただし、就業規則に有給休暇の買取に関する規定がある場合は、その規定に従う必要があります。
従業員の、
は違法となります。
有給休暇は従業員が実際に働いた期間に応じて付与される権利です。
買取予約をして、有給休暇の日数を減らす、有給休暇を与えないなどを行ってしまうと、従業員の権利を制限することになります。
有給休暇の買取代金は、
として扱います。
そのため支給日から5日以内に賞与支払届を所轄の年金事務所へ提出する必要があります。
いかがでしたでしょうか。
今回は「有給休暇の買取」について紹介しました。
有給休暇の買取は、原則として禁止ですが、従業員の不利益にならないケースであれば一部例外が認められています。
ただ、有給休暇の買取に関しては社内ルールが整備されていないと、労使間のトラブルに発展するリスクが高くなる可能性があります。
このようなトラブルをあらかじめ防止するためにも、
などの労働環境の整備が重要です。
もし今回の、「有給休暇の買取」について少しでも疑問や不安をお持ちの方はお気軽にご相談ください。
ぜひお待ちしております。