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「残業代の計算って、うちの会社は正しくできているのだろうか?」
そう感じたことはありませんか。
毎月の給与計算で何気なく使っている「時間単価」や「手当の扱い」ですが、実はここを誤ると、未払い残業代の発生や人件費の過払いにつながることがあります。
さらに、支給ルールがあいまいなままでは、監督署調査や従業員とのトラブルの原因にもなりかねません。
本記事では、残業代の正しい計算方法と、労働基準法で定められた「除外できる手当」について整理します。

社会保険労務士 志賀佑一
社会保険労務士志賀佑一事務所代表。
経営者、従業員、会社がともに3WINの組織づくりをモットーに、人材が定着する会社づくりのサポートに尽力。
社会保険労務士として独立後は人事労務支援に加え、各種研修や制度導入などを通じてリテンション(人材流出防止)マネジメント支援にも注力している。
正しい知識を持つことで、法的リスクを防ぎながら、公平で無駄のない賃金設計が可能になります。
この記事を読み終える頃には、自社の残業代計算が適正かどうか、自信をもって判断できるようになるはずです。

残業代の正しい算定は、労務管理の根幹を支える重要な要素です。基礎となる時間単価や割増率の理解が曖昧なままでは、誤った支給や過剰な人件費につながるおそれがあります。まずは、残業代の仕組みを正確に把握し、計算の前提となるルールを整理しておくことが大切です。
残業代の計算は、単に「時給 × 残業時間」ではありません。法律で定められた手順に基づいて計算する必要があります。
まずは基本を整理しておきましょう。
残業代は以下の式で算出します。
残業代 = 基礎賃金 × 割増率 × 残業時間数
ここで重要なのは「基礎賃金」です。これは、時間あたりの賃金(時間単価)を意味します。月給制の場合は、1か月の賃金総額を所定労働時間で割って求めます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基礎賃金の算出 | 月給 ÷ 月の所定労働時間 |
| 割増率(通常残業) | 25%以上 |
| 割増率(深夜労働) | 25%以上 |
| 割増率(休日労働) | 35%以上 |
このように、まず「何を基礎にするか」を正確に把握しておくことが、正しい残業代計算の第一歩となります。ここで誤りがあると、後の手当除外判断にも影響が及ぶため注意が必要です。
残業代の正確な計算には、賃金の定義を正しく理解することが欠かせません。賃金の構成や支払いルールについて詳しく知りたい方は、賃金とは?定義・構成・支払いルールを社労士が徹底解説!もあわせてご覧ください。
時間単価を求める際に、どの手当を含めるか・除外するかで結果は大きく変わります。すべての手当が自動的に含まれるわけではなく、労働の性質との関係性が判断基準となります。
含まれる手当は、労働そのものの対価とみなされるものです。
たとえば、基本給・役職手当・技能手当などが該当します。
一方、含まれない(除外できる)手当は、個人的事情に基づく支給であり、労働の成果や時間とは直接関係しないものです。
具体的には、家族手当・通勤手当・住宅手当などがこれに当たります。ただし、これらも一律支給の形態であれば、除外できないケースがあるため注意が必要です。
志賀佑一つまり、判断の基準は「名目」ではなく「実態」です。
同じ名称の手当でも、支給の目的や条件次第で扱いが変わるという点を理解しておくことが重要です。
残業代計算の誤りは、単なる数字の違いでは済みません。結果的に企業のコスト増や法的リスクへ直結する問題となります。
ケース1
たとえば、除外できるはずの手当を含めて計算してしまうと、本来支払う必要のない残業代を上乗せしてしまうことになります。この状態が長期間続くと、従業員1人あたりで年間数万円〜十数万円の差が生じるケースもあります。
ケース2
また逆に、除外できない手当を誤って除外していた場合、過少支給として未払い残業代の請求を受けるリスクもあります。これは遡及期間が最大3年(※2020年法改正後)に延長されており、金額が膨らみやすい点にも注意が必要です。
要するに、残業代の計算は「法的根拠を踏まえた正確な判断」が欠かせません。少しの誤解が、コスト・信頼・法的トラブルのいずれにも波及する可能性があります。
そのため、賃金規程や手当運用を定期的に見直す体制を整えておくことが、結果的にコストを抑える最善策となります。


労働基準法では、残業代の計算に含めなくてよい手当が限定的に定められています。これらは労働時間や成果と直接の関係がなく、従業員の個人的事情に基づく支給が中心です。
正しく理解すれば、不要なコストの発生を防ぎ、制度運用の精度を高めることができます。
家族手当は、扶養家族の有無や人数に応じて支給される手当であり、労働時間や成果とは関係しないため、原則として残業代の計算から除外できます。
しかし、実務上は「支給の仕方」によって扱いが大きく異なります。
たとえば、家族の人数や構成に応じて金額が変動する場合は除外できますが、全員一律で定額支給している場合は除外できません。
また、独身者を含めて全員に同額の家族手当を支給しているケースでは、実質的には「基本給の一部」と見なされ、残業代の算定対象に含まれます。
| 除外できるケース | 除外できないケース |
|---|---|
| 配偶者1人につき月1万円、子1人につき月5千円など、家族構成に応じて支給している | 全員一律に月1万円を支給している/独身者にも支給している |
名称よりも「支給基準」が重要です。
「家族手当」という名称であっても、実態が労働対価に近ければ残業代の計算に含まれるため、賃金規程で明確に区分しておくことが必要です。
通勤手当は、通勤にかかる実費を補填する目的で支給される手当であり、原則として残業代の基礎賃金には含まれません。通勤手段や距離、実際の交通費に応じて支給されている場合は除外対象です。
しかし、実務上よく見られるのが「通勤距離に関係なく一定額を支給する」ケースです。
この場合、実際の交通費に対応していないため、除外対象外(=残業代計算に含まれる)と判断される可能性があります。
判断のポイント



特に、車通勤者が多い企業では、「ガソリン代を一律支給している」場合の扱いに注意が必要です。
支給額が実際の通勤距離と乖離していれば、残業代計算の基礎に含めなければならない可能性があります。
別居手当は、転勤などの業務上の都合により、家族と離れて生活する従業員への補助として支給される手当です。
この性質上、労働の対価ではなく生活費補填の意味合いが強いため、残業代計算からは除外されます。
ただし、注意したいのは「支給の目的と条件」です。
たとえば、単身赴任ではない社員にも一律で支給している場合や、勤務継続を目的とした実質的な奨励金的性格を持つ場合は、除外できません。
別居手当が除外できるかどうかは、以下の点で判断します。
生活補助としての実態が明確であることが重要です。制度設計の際は、支給条件を就業規則や転勤規程に具体的に明記し、個々のケースで判断がぶれないように運用ルールを整えておくことが求められます。
子女教育手当は、従業員の子どもの教育費負担を補うための手当であり、原則として残業代の計算から除外できます。
これは、教育費が従業員個人の生活上の支出にあたるため、労働の対価とはみなされないためです。
ただし、注意したいのは「支給目的が曖昧なケース」です。
名目上は子女教育手当であっても、実際には在勤奨励や人材確保のためのインセンティブとして支給されている場合、実質的に労働対価と判断されるおそれがあります。
このような場合は、残業代の基礎賃金に含める必要が生じます。
また、支給基準が「子の人数」や「学年区分(義務教育・高校・大学)」などに応じて明確に設定されているかも重要です。
実務上は、下記のような基準が整っていると除外が認められやすくなります。
| 明確な基準がある場合(除外可) | 基準が不明確な場合(除外不可のリスク) |
|---|---|
| 子1人につき月額1万円、高校生は1.5万円など | 全員一律支給、あるいは支給条件が曖昧 |
手当の名称ではなく、支給の根拠や実態で判断される点を忘れないようにしましょう。「教育支援」という本来の趣旨が明確であれば、残業代の基礎賃金に含める必要はありません。
住宅手当は、従業員の居住費負担を補う目的で支給される手当であり、支給方法によって残業代への算入可否が分かれます。住宅という私的な支出に対して支給されるため、実際の住居費に応じて金額を設定している場合には除外が認められます。
たとえば、「賃貸住宅の場合は家賃の30%」「持家の場合はローンの15%」のように、支給額が実際の費用に連動している形です。
一方で、「全員一律で月3万円支給」など、実際の居住状況と関係のない定額支給の場合は、労働の対価とみなされ、残業代計算に含まれます。
判断のポイント
また、住宅手当は「福利厚生目的」だけでなく、「定着促進」や「勤務奨励」の意味合いを持たせているケースも見られます。その場合、支給目的が労働対価に近づくため、除外できるか否かの判断がより慎重に求められます。
住宅手当は金額が大きくなりがちな項目のため、誤って算入・除外を判断すると、残業代計算に大きな影響を与えます。



運用を見直す際は、就業規則上の記載内容と実際の支給実態を一致させることが重要です。
臨時で支払われた賃金とは、通常の労働の対価としてではなく、一時的・突発的な理由で支給される金銭を指します。
代表的なものには、結婚祝い金、災害見舞金、功労賞、退職金などがあります。
これらは、労働時間や業績とは直接関係しないため、残業代の計算から除外できます。
ただし、「臨時」とは名目だけではなく、支給の性質と頻度が実態判断の基準となります。
たとえば、名目上は「特別手当」としても、毎月・毎年のように継続的に支給されていれば、恒常的な賃金とみなされ、除外できません。
判断の目安
| 除外できるケース | 除外できないケース |
|---|---|
| 災害見舞金や慶弔金など、突発的・個別事情に基づく支給 | 毎年支給される「特別手当」や「報奨金」など、恒常的な支給 |
臨時手当を制度として設ける際は、「支給基準」「支給頻度」「支給理由」を社内規程に明記しておくことが重要です。
これにより、労働基準監督署の調査や従業員からの問い合わせがあった場合にも、合理的な説明が可能になります。名称だけで判断せず、「支給目的」と「支給の継続性」で線引きを行うことが、実務上のポイントです。
「1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金」とは、支給間隔が1か月を超える手当や報酬を指します。
最も代表的なものが賞与(ボーナス)であり、その他にも「勤続手当」「能率手当」「精勤手当」など、一定期間の勤務や成果に基づいて支給されるものが該当します。
これらは、1か月単位の労働に対する直接的な報酬ではなく、長期的な勤務や業績を評価した支払いとされるため、残業代の基礎賃金からは除外されます。ただし、すべての「賞与的な手当」が除外できるわけではありません。
例えば、以下のようなケースは注意が必要です。
注意が必要なケース
これらは支給間隔が1か月以内であり、かつ金額が確定的なため、残業代計算に含める必要があります。
一方、賞与のように会社の業績や個人の評価に応じて変動し、支給の有無や額が毎回確定していない場合は、除外対象とされます。
このように、判断の基準となるのは「支給の周期」と「金額の確定性」です。
運用上は、賃金規程に支給間隔や評価基準を明記し、給与支払いの性質を明確に区別しておくことがトラブル防止につながります。


手当の中には、同じ名称でも「残業代の基礎に含めるべきもの」と「除外できるもの」が存在します。その違いを生むのは、支給目的や性質の違いです。法的な背景と考え方を理解しておくことで、実務上の判断基準をより正確に捉えられるようになります。
残業代の計算から除外できる手当の多くは、
労働そのものに対する報酬ではなく、従業員個人の生活状況に応じた支給である点が特徴です。
言い換えれば、「働いた結果として受け取るもの」ではなく、「生活環境や家族構成などの事情」に基づいて支払われるものです。
たとえば、家族手当は扶養家族の有無、住宅手当は居住形態、通勤手当は通勤距離や費用に応じて支給されます。これらはいずれも、仕事の量や質、労働時間とは直接関係がありません。
この考え方は、労働基準法第37条の「時間外労働に対する割増賃金の算定基礎」から導かれたものであり、労働と無関係な支給については、割増の根拠となる賃金から除外することが合理的とされています。
企業側としては、「その手当が何を目的として支給されているか」を明確にしておくことが重要です。目的が曖昧なままでは、後にトラブルが発生した際に「労働の対価」とみなされるリスクが高まります。
残業代の算定対象となるかどうかは、手当の「名称」ではなく「実態」で判断されるのが原則です。これは、企業が名称を変えることで意図的に残業代を低く抑えるような誤用を防ぐために設けられた考え方です。
たとえば、「住宅手当」と称していても、実際には営業成績や勤務成績に応じて支給されている場合、その手当は実質的に「業績給」や「役割手当」と同様に扱われ、残業代計算の基礎に含める必要があります。
逆に、「職務手当」「業務手当」といった名称であっても、特定の資格取得や通勤補助といった個人的要因を目的とした支給であれば、除外対象となるケースもあります。
判断の基準は、次のように整理できます。
| 判断項目 | 内容 |
|---|---|
| 支給の目的 | 労働の成果・勤務に対してか、生活補助目的か |
| 支給の条件 | 労働時間・成績によるものか、個人事情によるものか |
| 支給の継続性 | 恒常的に支払われているか、臨時的か |
したがって、就業規則や賃金規程において、支給目的と基準を明確に定義することが極めて重要です。形式的な呼称に頼らず、実際の運用実態で判断されるという原則を理解しておく必要があります。
除外できる手当を誤って残業代計算に含めている場合、企業側には「過大支給」のリスクが生じます。
一方、含めるべき手当を除外していた場合は、「未払い残業代」が発生することになります。
どちらも放置すれば、経営や信用に大きな影響を与えかねません。
特に後者の場合は、労働者側からの申告や監督署の調査によって、過去3年分(法改正後の遡及期間)の未払い分をまとめて支払わなければならないケースがあります。
これは、一人あたり数十万円〜数百万円規模になることも珍しくありません。
さらに、未払いが発覚した場合には、以下のような二次的リスクも発生します。
未払いが発覚した場合の二次的リスク
このようなリスクを防ぐためには、定期的に賃金規程を点検し、手当の支給目的と実態を照合する社内プロセスを設けることが有効です。
一見些細な運用ミスでも、法的には重大な問題に発展する可能性があります。経営リスクを抑える観点からも、専門家による監査やチェックを定期的に行うことが望まれます。
賃金の支払いは、労働基準法で明確に原則が定められています。基本を押さえてトラブルを防ぎたい方は、賃金払いの5原則とは?罰則やよくあるトラブル事例も解説もぜひ参考にしてください。


制度設計の段階では適正でも、運用方法によって除外基準が崩れてしまうことがあります。家族手当や住宅手当の支給形態、就業規則との整合性など、細部に注意が必要です。現場レベルでの点検と、専門的な確認を組み合わせることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
家族手当や住宅手当は、原則として残業代の計算から除外できますが、すべての支給形態が対象になるわけではありません。
実際には、支給の目的や方法によっては「労働の対価」とみなされ、残業代の基礎賃金に含めなければならない場合があります。
たとえば、次のようなケースです。
| 手当の種類 | 除外できないケースの例 |
|---|---|
| 家族手当 | 独身者を含めて全員一律に支給している場合/家族の人数に関係なく定額支給している場合 |
| 住宅手当 | 居住形態に関係なく一律に支給している場合/支給額が賃貸・持家などの実費と無関係な場合 |
このように、「実際の支給基準が個人事情に基づいているかどうか」がポイントになります。
たとえ名称が「家族手当」「住宅手当」であっても、実態が勤続奨励や勤務評価に近い内容であれば、残業代算定の基礎に含まれます。
誤った扱いをしていると、未払い残業代の対象となるリスクがあるため、まずは支給ルールと運用実態を照らし合わせて確認することが重要です。
残業代の計算において誤りが生じやすい原因の一つが、賃金規程と実際の運用が一致していないことです。どれだけ正しい計算式を用いても、支給ルールが不明確であれば法的な整合性を欠いてしまいます。
整合性を確認する際は、以下のステップで点検を行うと効果的です。
① 就業規則・賃金規程を確認
各手当の「支給目的」「支給条件」「支給単位(月額・日額など)」が明確に記載されているかを確認します。
② 実際の支給実態を把握
給与明細や勤怠記録をもとに、規程通りに運用されているかを照合します。
③ 労働契約書との整合確認
個別契約書に規程と異なる条件(たとえば定額手当)が記載されていないかをチェックします。
もし記載内容と支給実態が食い違っている場合、監督署調査で「支給目的が不明確」と判断されるおそれがあります。
文書上の整備と実務上の運用を一致させることが、最も基本的かつ効果的なリスク対策です。
手当の扱いや残業代の算定方法を見直す際は、専門家である社会保険労務士に相談することで、法令違反やリスクを未然に防ぐことができます。特に次のような場面では、社労士の関与が有効です。
社労士は、法令だけでなく実務の運用例を踏まえて、「自社の制度を守りながら、法的に安全な形で運用する」ための助言ができます。



見直しを行う際には、単なる法解釈だけでなく、今後の制度運用や労使トラブル防止の観点からも相談を行うことをおすすめします。


残業代の正確な算定は、法令遵守だけでなく、企業の信頼と公平な労務管理の実現にも直結します。手当の扱いを整理し、運用ルールを見直すことが、将来的なリスク軽減にもつながります。ここで整理したポイントを踏まえ、自社の賃金体系を一度点検してみましょう。
前述の通り、残業代の計算から除外できる手当は、法律で明確に定められています。これらは「労働の対価」ではなく、個人の生活状況や一時的事情に基づいて支給されるものという共通点があります。
主な7項目を改めてまとめます。
| 区分 | 手当の例 | 主な目的 |
|---|---|---|
| 家族関係 | 家族手当・子女教育手当 | 扶養家族や教育費の補助 |
| 生活環境 | 住宅手当・別居手当 | 居住費・単身赴任の負担軽減 |
| 通勤関連 | 通勤手当 | 通勤に要する実費の補填 |
| 支給時期 | 臨時で支払われた賃金・1ヶ月を超える期間ごとの賃金 | 一時金・賞与などの特別支給 |
これらの手当は、労働時間や成果と無関係であるため、残業代の基礎となる賃金から除外できます。
ただし、名称が同じでも支給目的や基準によっては除外できないケースがあるため、「支給目的」「頻度」「対象者」を整理し、手当の位置づけを正確に理解しておくことが欠かせません。
除外対象となるかどうかの判断で最も重要なのは、手当の「実態」と「支給基準」が明確になっているかどうかです。
曖昧な基準のまま支給を続けていると、後になって「実質的には労働の対価」と見なされる可能性があります。
実務上は、次のような点を整理しておくと良いでしょう。
これらを就業規則や賃金規程の中で明文化しておくことで、社内の運用ルールが一貫し、後から判断に迷うことや、従業員との認識の食い違いを防ぐことができます。



また、文書化は外部からの監査や行政調査にも有効です。支給根拠を明確に示すことができれば、法的トラブルへの抑止にもつながります。
残業代に関するトラブルや誤算は、「規程の更新が追いついていない」ことが原因で発生するケースが少なくありません。
法律の改正や働き方の多様化により、手当の支給形態や名称が変化しているにもかかわらず、就業規則や賃金規程がそのまま放置されていることが多いのが実情です。
特に注意が必要なのは、以下のようなタイミングです。
これらの変更があった際は、「規程上の記載」「実際の運用」「残業代計算への反映」が一致しているかを確認することが大切です。
定期的なチェック体制を設けておくことで、未払い残業や監督署の是正勧告などのリスクを事前に防止できます。
また、見直しの際には、社労士による外部監査や法令確認を組み合わせることで、自社では気づきにくい盲点やリスクを早期に発見することが可能です。
「改訂したつもりで法令違反になっていた」という事態を避けるためにも、年1回の点検を目安に整備を進めることをおすすめします。
賃金規程を適切に整備することで、残業代計算の誤りや労使トラブルを未然に防げます。実際の設計や見直しの進め方については、賃金規程の整備ガイド|設計・規程作成・実務運用までプロが徹底解説にて詳しく解説しています。
残業代の計算において、どの手当を含め、どの手当を除外できるかを正しく判断することは、人件費の適正化と法令遵守の両立に欠かせないポイントです。
労働基準法で定められた「除外できる7つの手当」は限定的であり、その判断は名称ではなく実態に基づいて行う必要があります。
この記事のポイントを整理すると、次のようになります。
残業代の誤算定は、過払い・未払いの両方のリスクを生みます。支給目的を明確にし、制度を見直すことで、適正な賃金管理と従業員の信頼を両立させることが可能です。
今一度、自社の「残業代 計算」と「手当の運用」を点検し、安心できる労務体制を整備しましょう。
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