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管理職を置いている企業の中には、
「この役職は管理監督者として扱って良いのだろうか?」
「残業代の支払いは必要なのか、判断が難しい…」
といった悩みを抱えるケースが少なくありません。
肩書があっても、労働基準法上の管理監督者に該当しないことは多く、誤った運用は“名ばかり管理職”として大きなトラブルにつながる恐れがあります。判断基準が複雑であるだけに、企業側が迷いやすい領域と言えます。
本記事では、次の点について理解できるよう構成しています。

社会保険労務士 志賀佑一
社会保険労務士志賀佑一事務所代表。
経営者、従業員、会社がともに3WINの組織づくりをモットーに、人材が定着する会社づくりのサポートに尽力。
社会保険労務士として独立後は人事労務支援に加え、各種研修や制度導入などを通じてリテンション(人材流出防止)マネジメント支援にも注力している。
記事を読み終える頃には、管理監督者の判断基準と運用の要点が整理され、自社の制度を“正しく・安全に”運用するための視点を持てるようになります。
管理監督者は労働基準法上の特別な位置づけを持つため、一般の従業員とは異なる扱いが求められます。誤った運用が起きやすい領域でもあるため、まずは管理監督者の考え方を正しく理解することが重要です。
管理監督者とは、労働基準法において 「企業運営に経営者側として関与する立場」 として位置づけられる存在です。一般的な「管理職」とは異なり、企業の経営判断や労務管理を担う“経営に近い役割”を持つことが特徴です。
法律上の位置づけであるため、役職名ではなく業務内容・権限・働き方の実態が基準となります。たとえば、広い裁量が与えられ、勤務時間の調整や業務遂行の方針を自ら決められることが求められます。
また、管理監督者は労働時間・休憩・休日など一部の規制の適用除外となりますが、これは“経営側として働く”という特性によるものです。
ただし、深夜割増や健康確保措置など、労働者としての保護が適用される部分も存在します。
したがって管理監督者とは、「経営者的判断を担い、企業運営を支える特別な立場の労働者」と整理するのが適切です。
管理職と管理監督者は混同されやすいものの、法律上は別の概念です。
管理職は会社が任命する役職で、主に部下の育成やチーム運営を担います。
一方、管理監督者は法律で定められた概念であり、企業運営に関する重要事項の決定や組織運営への関与が求められます。
比較すると、次の点で違いが明確です。
| 観点 | 管理職 | 管理監督者 |
|---|---|---|
| 定義 | 会社が任命する役職 | 労働基準法による法的概念 |
| 主な内容 | 部下指導・チーム運営 | 経営関連の意思決定への関与 |
| 労働時間規制 | 適用される | 一部適用除外(例:労働時間) |
| 裁量 | 会社の制度により限定的 | 高い裁量と自律性が前提 |
つまり、管理職であっても実態が伴わなければ管理監督者とは認められないため、両者の違いを整理した制度運用が必要となります。
管理監督者は、労働基準法の中で「業務の進め方について経営層に近い裁量を持つ存在」と位置づけられているため、一般の労働者とは異なる扱いが認められています。その大きな特徴が、労働時間・休憩・休日に関する規制の適用除外です。
この適用除外は、法律が管理監督者を「企業運営に主体的に関わる人」と捉えていることに由来します。
経営判断に携わる立場であれば、業務の繁閑に応じて働き方を柔軟に調整せざるを得ず、固定的な労働時間の枠に収まりにくい——こうした“職務の性質そのもの”が背景にあります。
つまり、管理監督者は「決められた時間に働く」というより、「業務の必要性に応じて働く」という役割構造が前提となっています。
したがって、労働時間の適用除外は、権限や職務の広さといった「職務設計の考え方」に根差した制度であり、単に残業代の有無によって理解すべき性質のものではありません。
一方で、この制度は誤った運用が起こりやすい領域でもあります。裁量を前提にした制度であるにもかかわらず、実際には一般従業員と同じように働き方が固定化されている場合は、本来の趣旨と大きく乖離してしまいます。
管理監督者として扱うのであれば、その職務の性質が本当に裁量的であるかを、企業側が慎重に確認することが不可欠です。
管理監督者であっても、深夜(22時〜翌5時)の労働については割増賃金の支払いが必ず必要です。この点は、労働時間規制の適用除外とは切り離して考える必要があります。
深夜労働に割増が必要とされるのは、深夜時間帯の勤務が身体的負担を伴いやすいことから、労働者の健康保護が重視されているためです。したがって、管理監督者であっても“深夜割増だけは免除されない”という法の建て付けになっています。
深夜時間帯の割増率や具体的な計算方法は、深夜残業の正しい計算方法とは?割増率と未払い防止ポイントを解説の記事で詳しく整理しています。
深夜手当が必要であることを整理すると、企業が考慮すべきポイントは次のとおりです。
多くの企業で誤解されやすいのが、「管理監督者だから残業代も深夜手当も不要」という扱いです。しかし、このような運用は法的に認められません。とくに深夜手当については、未払いが長期間蓄積すると大きなリスクになり得るため注意が必要です。
正しい理解に基づいた制度運用が、企業と従業員双方にとって健全な労働環境につながります。

管理監督者かどうかは、形式ではなく実態に基づき判断されます。法律が定める複数の視点を総合して評価するため、判断基準を体系的に理解しておくことで、企業としての誤認防止につながります。
管理監督者に該当するかどうかは、肩書や役職名ではなく、労働基準法上の要件を満たしているかで判断されます。この判断基準は一つでも欠ければ管理監督者と認められないため、実務上は非常に慎重な対応が求められます。
その判断に用いられるのが、次の4つの要件です。
4つの要件
これらは個別に評価されるものではなく、総合的に判断される点が重要です。たとえば職務内容だけ満たしていても、勤務態様が一般社員と同じであれば管理監督者とは認められません。
裁量の大きさや働き方、待遇面など、複数の観点から「経営者と一体的かどうか」を確認する必要があります。
志賀佑一裁判例でも、形式的な役職だけで管理監督者性が認められたケースはほとんどなく、むしろ否定された事例が多いのが実情です。
そのため、企業としてはこれらの要件が満たされているかを明確に整理し、就業規則や職務分掌などで裏付けを示せるようにしておくことが大切です。
職務内容の観点では、単に部下を管理する立場かどうかではなく、企業の経営に関わる重要な意思決定に関与しているかが判断の軸になります。
ここでいう「経営に関わる」とは、経営層と日常的に調整したり、人員配置や業務運営に関する判断を自ら行える立場かどうかを指します。
また、業務範囲の広さも評価対象となります。一般の従業員と同じ業務をこなしながら、名目上の管理業務が付加されているだけの場合は、職務内容として管理監督者の要件を満たしているとは言えません。
自ら企画し、方針を判断し、結果に対する責任を負う立場かどうか。
これが職務内容における最も重要な視点です。
責任と権限の観点では、管理監督者としての権限の範囲が十分に与えられているかが問われます。部下の指導にとどまらず、業務方針・組織運営・人事に関する判断がどこまで任されているかが重要です。
以下は、責任と権限を判断する際の代表的な視点です。
これらが備わっていない場合、形式上の「管理職」であっても管理監督者と認められない可能性があります。
とくに、上司の承認がなければ何も決められない、会社運営に関わる権限がないといった状況では、責任と権限が不足していると判断されやすい傾向があります。
権限の大きさは、そのまま責任の重さにつながります。そのため、管理監督者として扱う場合には、企業側がどの範囲まで権限を付与しているかを明確にし、形式だけでなく実態として権限行使が可能な状態になっていることが求められます。
勤務態様の要件では、管理監督者としての「働き方の実態」が問われます。肩書が管理職であっても、日々の勤務が一般従業員と同じように厳格に管理されている場合は、管理監督者としては認められません。
管理監督者に求められるのは、業務状況に応じて自ら勤務時間を調整できるだけの裁量です。具体的には、会議や重要案件の対応に合わせて早出・遅出を判断したり、必要に応じて勤務時間の長短を柔軟に選択できる状態が望ましいとされます。
この点で重要なのは、「長時間働いているかどうか」そのものではなく、その働き方を自分の判断で調整できるかどうかです。仮に長時間労働が続いていても、会社が勤務時間を細かく管理し、出退勤を厳密に指示している場合は、裁量が十分とは言えません。
一方で、必要な裁量があっても、恒常的に業務量が過多で柔軟な働き方ができない状態が続いてしまうと、形式上の要件と実態が乖離してしまいます。そのため、企業としては管理監督者の勤務実態を把握し、必要に応じて業務量の調整や健康確保のための措置を講じることが求められます。
管理監督者の要件の中でも、この勤務態様は見落とされやすい部分です。
勤務時間が一般従業員と同じように管理されていないか、勤務実態と裁量が乖離していないか、定期的な確認と見直しが重要です。
賃金と待遇の要件では、管理監督者としての責任と負担に見合うだけの処遇が提供されているかが判断されます。ここで求められるのは、単に基本給が高いかどうかではなく、総合的に一般従業員よりも優遇されているかという視点です。
裁量の大きさや業務遂行に伴う負担を踏まえると、管理監督者にはそれに見合った手当や待遇が必要です。たとえば、役職手当や一定の裁量手当などが補完的に支給されているかどうかも判断材料になります。
最低限押さえておくべきポイントは次のとおりです。
裁判例でも、給与水準が一般従業員と同等、あるいはそれ以下だったケースでは管理監督者性が否定されており、賃金・待遇は非常に重要な判断要素です。



また、待遇が明確でない場合には労務トラブルに直結しやすく、特に残業代の未払い請求に発展するリスクがあります。
企業としては、役割に応じた処遇の妥当性を定期的に点検し、就業規則や賃金規程との整合性を確保しておくことが欠かせません。


管理監督者は一般の従業員とは異なる扱いを受けますが、その運用には明確なルールと注意点があります。適切な労務管理を行うためには、適用される規定・されない規定を切り分け、健康管理も含めて運用全体を設計する必要があります。
管理監督者には「労働時間・休憩・休日」が適用除外となりますが、一方で除外されない規定も明確に存在しています。この“適用される規定・されない規定”を正しく整理しておくことは、誤った運用による労務リスクを防ぐうえで非常に重要です。
そもそも労働時間に関する扱いを理解するには、まず労働時間の定義と判断基準を整理した基礎知識が欠かせません。
管理監督者の運用と密接に関係するため、必要であれば、労働時間とは?定義と判断基準を整理して残業トラブルを防ぐの記事も合わせて確認しておくと理解がより深まります。
管理監督者が適用除外となる規定は、労働基準法41条によって限定的に定められています。



対象となるのは、あくまで労働時間・休憩・休日に関する章に限られます。
一方で、以下のように、管理監督者であっても適用される規定があります。
管理監督者であっても適用される規定
ここで押さえておきたいのは、「適用除外=すべての労働保護が外れる」という誤解が非常に多いという点です。
実務では、深夜手当の未払いが後に大きな請求トラブルにつながるケースが多く、特に注意が必要です。また、管理監督者も労働者である以上、健康診断や長時間労働時の医師面接など、健康確保に関する規定は当然に適用されます。
例外規定の正しい理解は、企業が制度を適切に運用するための“最低限の土台”となります。この基礎が曖昧なままだと、管理監督者として扱う根拠が揺らぎ、結果的に大きなコンプライアンスリスクにつながってしまいます。
管理監督者は労働時間規制の適用除外ではあるものの、労働時間の把握を行わなくてもよいわけではありません。
法改正の影響もあり、企業には管理監督者の労働時間を適切に把握する義務が生じています。これは健康管理の観点から非常に重要なポイントです。
管理監督者は組織運営の中心となる存在であり、業務負荷が高くなりがちな立場です。そのため、勤務時間を把握せずに放置すれば、過重労働による健康障害や業務遂行能力の低下を招く恐れがあります。
企業としては、次のような観点で実務運用を整理する必要があります。
このように、管理監督者の働き方は「自由に任せて放置する」ものではありません。裁量の大きさを尊重しつつも、企業側は健康確保の観点から必要な管理を行うことが求められています。
管理監督者を適切に運用するためには、就業規則に明確な記載を置くことが不可欠です。管理監督者の要件は実態で判断されますが、企業としてはその根拠となる規定が整備されていないと、トラブルが発生した際に説明が難しくなってしまいます。
就業規則へ明記するべき内容には、次のような項目があります。
これらを記載することにより、管理監督者として扱う理由や判断基準が社内で明確になり、従業員に対しても説明しやすくなります。



特に、名ばかり管理職問題が社会的にも大きなテーマとなっている中、企業としての透明性と説明責任が非常に重要です。
規定が曖昧なままだと、後から「管理監督者ではない」と判断され、残業代請求に発展するリスクが高まります。そのため、就業規則の整備は、組織のリスク管理の意味でも重要な役割を果たします。
管理監督者の取り扱いは誤解が生じやすく、制度の理解不足がトラブルにつながることがあります。現場で起こりやすいリスクを把握しておくことで、未然防止と制度の安定運用が可能になります。
管理監督者に関するトラブルは、多くの場合 制度の誤認や社内での運用基準の不整備 が原因で発生します。
特に、以下のような原因によって問題が起こりやすくなります。
これらは制度そのものの理解不足から生じるため、結果として未払い賃金・労働時間管理の不備・不信感の発生など、さまざまな問題に派生します。
管理監督者に関するトラブルの中でも最も典型的なものが、役職名のみで管理監督者と扱い、残業代を支払わないケースです。
この問題の核心は、「肩書と実態が全く一致していない」 ところにあります。
代表的な特徴としては、以下のようなケースが挙げられます。
これらに該当すると、管理監督者として扱われていたとしても法的には認められず、未払い残業代が高額に発生することがあります。



判例でも職務内容・権限・待遇が実態として不十分であった場合には、管理監督者性が否定される傾向が明確です。
労働時間の正しい判断は、残業代の支払い可否にも直結するため、誤解が生じれば後に大きな請求につながります。
労働時間の基礎判断が曖昧な場合は、労働時間とは?定義と判断基準を整理して残業トラブルを防ぐの記事も合わせて参考になります。
管理監督者は業務に対する裁量が大きいだけに、長時間労働が発生しやすい傾向があります。
特に、人員不足や業務量の偏りがある部署では、管理監督者自身が現場の業務を補う場面が増え、結果として勤務時間が過度に伸びてしまうことがあります。
しかし、労働時間規制の適用除外であっても、企業は管理監督者の健康を守る義務を負っています。労働安全衛生法の観点からも、長時間労働の放置は許されないため、勤務実態のチェックや負荷の調整が不可欠です。
長時間労働が問題となりやすい理由には次のような傾向があります。
長時間労働が続けば、健康問題だけでなく、判断力の低下による業務リスクも高まります。管理監督者こそ、働き方の見直しや業務量の調整を適切に行い、持続可能な労働環境を整えることが必要です。


過去の判例には、管理監督者としての扱いが否定された事例が多く存在します。判断が否定された理由を読み解くことで、どの要素が重要視されるのか、実務での判断ポイントを具体的に理解できます。
管理監督者に関する判例では、形式的な役職名や手当の支給があったとしても、実態が伴わなければ管理監督者とは認められないという判断が一貫して示されています。これらの事例は、企業が管理監督者を設定する際の重要な判断材料となります。
判例に共通しているポイントは次のとおりです。
これらは、管理監督者の4要件がいずれも満たされていないことを示しています。
以下では、具体的な5つの判例について、なぜ否定されたのかを個別に整理します。
この事例では、肩書こそ「支店長代理」という管理職的な名称ではあったものの、出退勤の自由が全くなく、勤務時間が厳格に管理されていた点が大きな判断ポイントとなりました。
さらに、人事への関与や機密事項の扱いも限定的で、経営判断に関与する立場とは言えませんでした。
形式的に支店長を補佐する立場であっても、実態が伴っていなければ管理監督者性は認められないという典型例です。
(静岡銀行割増賃金等請求事件/静岡地裁判決 昭和53年3月28日)
飲食業でよく見られるのがこのケースです。店舗運営を任される店長であっても、実際には現場作業(調理・接客・レジ・清掃)が業務の大半を占めていたことが問題となりました。
採用に一部携わっていたとしても、人事権そのものは経営側が握っており、業務方針の決定も本部主導で行われていました。さらに、営業時間に拘束され、自由な勤務調整ができなかったことから、管理監督者とは認められませんでした。
(レストラン「ビュッフェ」事件/大阪地裁判決 昭和61年7月30日)
この事例では、役職上「主任」とされながらも、勤怠がタイムカードで厳格に管理されていた点が管理監督者性を否定する決め手となりました。
また、「支店長会議に出席していた」という形式的な活動があっても、営業方針の決定権限がなかったため、経営側と一体的な立場とは評価されませんでした。
肩書や業務範囲に“それらしい要素”があるだけでは要件は満たせないことを示す判例です。
(ほるぷ事件/東京地裁判決 平成9年8月1日)
ここでは複数の役職者が争点となりましたが、共通していたのは、経営方針に関する意思決定に関与していなかった点です。
会議への参加や意見具申の機会があっても、それが「決定権限」とはみなされません。
また、勤務時間についても一般社員と同じ管理が行われていたため、裁量労働的な働き方とは言えず、管理監督者性が否定されました。
(東建ジオテック事件/東京地裁判決 平成14年3月28日)
課長という名称が付いていても、実態としては工場運営に関わる重要な決定権限を持っていなかったことが問題視されました。人事に一部関与していた点は評価されましたが、最終判断は上層部が行っており、権限は限定的でした。
さらに、勤務時間も拘束的で、業務遂行に関する裁量も乏しく、管理監督者としての待遇も十分とは言えませんでした。
(サンド事件/大阪地裁判決 昭和58年7月12日)
どの判例にも共通しているのは、「役職名が何であるか」ではなく「業務の実態」こそが判断基準になるという点です。
特に以下の3点は、管理監督者を設定する企業にとって重要な示唆となります。
これらの判例は、管理監督者の判断を誤ると深刻なトラブルにつながることを示しており、企業の制度設計や運用の精度が求められる領域です。
管理監督者の設定には、要件を満たしているかどうかの見極めと、運用後のフォローの両面が求められます。企業が押さえるべき判断ポイントを把握することで、制度の信頼性を高め、労務リスクを低減できます。
管理監督者の選定は、単に役職名を基準にするものではなく、企業の運用次第で大きな労務リスクにつながる領域です。誤った選定は、残業代請求や名ばかり管理職問題など、重大なトラブルの引き金となりかねません。
そのため、企業は「管理監督者として扱う前に確認しておくべき基準」を明確にし、各ポイントについて実態を丁寧に見極めていく必要があります。
判断の際に特に押さえておきたいのは、次の3点です。
裁量の幅が十分に確保されているかどうか
勤務時間の調整や業務遂行の方法を自ら決められるだけの裁量がなければ、管理監督者としての扱いは困難になります。
権限が形式的ではなく実質を伴っているか
人事や業務方針に関する決定にどこまで関与しているか、上司の承認がなければ動けない状態では要件を満たしづらくなります。
待遇が責任や業務負荷に見合っているか
給与水準や手当が一般従業員と同程度であれば、管理監督者として扱うのは難しく、後に否定されるリスクが高まります。
これらのポイントを事前に確認しておくことで、管理監督者の選定を「なんとなく」ではなく、明確な基準に基づく判断として整理できます。
この工程を省略してしまうと、形式と実態の乖離が起こりやすく、後から企業側が不利になる可能性が高まります。
企業が安心して運用するためには、選定基準を社内で統一し、必要に応じて定期的に見直すことも重要です。
管理監督者の取り扱いは、企業の労務管理に大きく影響する領域であり、判断を誤ると「名ばかり管理職」問題や未払い残業代など深刻なリスクを招きます。
そのため、“法律上の管理監督者とは何か”を実態に基づいて見極めることが極めて重要です。
本記事で押さえておくべきポイントは次のとおりです。



管理監督者の判断には、単なる制度理解だけでなく、現場の勤務実態との整合性が不可欠です。
この記事で整理した基準を参考にしつつ、自社の運用にズレがないか定期的に点検し、リスクのない安定した制度運用へつなげていきましょう。
管理監督者の取り扱いで、こんなお悩みはありませんか?
管理監督者の判断は、「役職名」ではなく「実態」で評価されるため、少しの認識違いが大きなリスクにつながることがあります。
特に、勤務態様や待遇、権限の範囲といった“見落とされやすいポイント”は、後々の未払い残業問題や労基署対応につながりかねません。
当事務所では、管理監督者の 要件整理・選定基準の作成・就業規則への反映・運用レビュー まで、専門の社会保険労務士が丁寧にヒアリングし、貴社の実態に合わせた最適な運用方法をご提案いたします。
ポイントは、「とりあえず管理職だから管理監督者」という乱暴な運用ではなく、“実態に合った安全な運用” を一緒に形にしていくことです。
初回相談は無料です。
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