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副業の労働時間の通算って、ややこしいですよね。
ダブルワークを始めようとしたときや、社員の副業を認めようとした場面で、
「本業と副業の労働時間は足し算で考えるの?」
「36協定や時間外の上限100時間に引っかかったりしない?」
「残業代はどの会社が払うことになるの?」
「雇用契約と業務委託で扱いは違うの?」
こんな疑問や不安を感じる方はとても多いです。
結論として、副業が雇用(アルバイト等)なら労基法38条の考え方で「通算」が問題になりやすく、業務委託なら原則は通算対象外になりやすいです(ただし実態次第)。
企業実務では、完璧な通算管理よりも、届出・上限の設計・健康配慮をセットで回すことが重要です。
この記事では、労基法38条の考え方を軸に、副業と本業の労働時間をどう通算するのか、残業が発生した場合の整理の仕方、そして厚生労働省が示している管理モデルまで、実務で迷いやすいポイントを一つずつ整理していきます。
なお、副業・兼業者の労働時間管理や割増賃金の整理は、労働基準法改正の検討過程でも「企業実務への影響が大きい論点」として取り上げられてきました。
2026年通常国会への改正案提出は見送られましたが、長時間労働の抑制や健康確保という方向性自体が否定されたわけではありません。
そのため、副業の労働時間通算についても、改正を待つかどうかに関係なく、現行法の枠内で整理しておくべきテーマといえます。
労働基準法改正の見送りの経緯や、企業実務への影響全体については、労働基準法の改正見送りで企業が今すべき労務管理の実務対応と注意点で整理しています。
読み終える頃には、「何を確認すればいいのか」「どこまで管理すればよいのか」といった実務上の線引きが、自然と見えてくるかなと思います。

社会保険労務士 志賀佑一
社会保険労務士志賀佑一事務所代表。
経営者、従業員、会社がともに3WINの組織づくりをモットーに、人材が定着する会社づくりのサポートに尽力。
社会保険労務士として独立後は人事労務支援に加え、各種研修や制度導入などを通じてリテンション(人材流出防止)マネジメント支援にも注力している。

まずは「通算ってそもそも何?」を、法律の建て付けと実務のズレを含めて整理します。副業の形態(雇用か業務委託か)や、どの規制が通算対象かを押さえると、全体像が一気に見やすくなります。

副業における労働時間通算は、労働基準法38条1項の「事業場を異にする場合でも労働時間を通算する」という考え方が出発点です。
(時間計算)
労働基準法|e-Gov 法令検索
第三十八条 労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。
ポイントは、同じ会社の別店舗だけでなく、別会社どうしでも通算の対象になり得るところです。
なぜこんな強いルールがあるかというと、制度の目的はシンプルで、働き過ぎを防いで健康を守るためです。会社の都合で事業場を分けたり、法人格を使い分けたりして、労働時間規制をすり抜けるのを防ぐ背景もあります。
ただし、通算は「何でもかんでも合算」ではありません。
まず大前提として、通算の土俵に上がるのは労働基準法上の労働者として働いている時間です。つまり、本業が雇用で、副業も雇用(アルバイト等)なら通算の問題が出やすい。一方、副業が業務委託や請負のように「雇用ではない」形なら、原則は通算対象外になりやすい、という整理になります(ただし実態次第で逆転もあるので後述します)。
そして、通算のもう一つの落とし穴が、「何が通算されて、何が通算されないのか」です。実務ではここを混同して、過剰に怖がってしまうケースと、逆に軽く見て事故るケースが両方あります。
ざっくり言うと、法定労働時間や健康確保に近い上限規制は通算の発想が強く働き、休憩・休日・年休などは事業場ごとの管理色が強い、というイメージです。
通算の発想は「長時間労働になりやすい人を守る」ための安全装置です。会社目線では管理が大変でも、制度の趣旨はここにあります。
| 論点 | 通算の考え方 | 実務での注意点 |
|---|---|---|
| 法定労働時間(1日8時間・週40時間) | 通算して判断しやすい | 本業だけで枠が埋まると副業の所定が割増対象になることがある |
| 上限規制(単月100時間未満等) | 健康確保の観点で通算が問題になりやすい | 自社の残業が少なくても他社と合算してライン超えが起こり得る |
| 36協定の「月45時間・年360時間」 | 事業場ごとの協定管理が基本 | ただし別枠の上限規制とセットで考えないと危ない |
| 休憩・休日・年休 | 原則は事業場ごと | 「A社で年休、B社で勤務」自体は直ちに違法とは言い切れないが健康面の配慮は必要 |
なお、副業・兼業における労働時間通算の基本的な考え方については、厚生労働省が公表している以下の資料でも整理されています。
(参考):厚生労働省|副業・兼業における労働時間の通算について(労働時間通算の原則的な方法)
ここは誤解が多いところです。結論から言うと、
副業が雇用契約なら通算対象になりやすく、業務委託(請負・委任)なら原則として通算対象外になりやすいです。
副業解禁が進むほど、この線引きが効いてきます。なぜなら、会社としては「通算の管理」をするかどうかで、運用コストもリスクもガラッと変わるからです。
ただし、「形式が業務委託だから安心」とは言い切れません。ここ、ちょっと怖いところなんですが、契約書のタイトルより実態が重視される場面があるからです。
たとえば、発注側が作業時間を細かく指定している、業務の進め方を逐一指示している、代わりの人に任せられない、成果ではなく労務提供それ自体に対価が払われている、などが重なると、使用従属性が強いと見られることがあります。
そうなると「実は雇用だった」と評価され、結果として労働時間通算や割増賃金が問題化するリスクが出ます。
もしあなたが副業を始める立場なら、「業務委託なら何時間働いても通算されない」と決めつけるのは危ないです。副業先で実態が雇用に近いと評価されると、後から通算の論点が出たり、健康面の配慮義務の話が大きくなったりします。
副業先から「毎日この時間に入って」「シフトで回して」と言われるタイプは、実質的には雇用に寄りやすいです。
企業側は、副業を認めるときに「雇用の副業」を許すのか、「業務委託型の副業」まで視野に入れるのかで、必要な届出項目が変わります。
特に雇用型の副業を想定するなら、契約締結日、所定労働時間、曜日・時間帯、所定外労働が発生し得るかは最低限押さえたいところです。
副業者を雇う側も同じで、相手が本業で週40時間働いているなら、短時間アルバイトでも割増が混ざる可能性がある。ここを見落とすと「想定より人件費が高い」という話になります。
注意:契約書の名称だけで判断すると危ないです。業務委託のはずが、運用実態が雇用寄りになっていないかは定期的に点検しましょう。
まとめると、「雇用か業務委託か」は通算の入口であり、入口を間違えると後の計算も健康配慮も全部ズレます。
会社側が副業を許容する場合も、社員側が副業を始める場合も、「雇用なのか業務委託なのか」を最初に切り分けるのが、トラブル予防として一番効きます。
法定労働時間は、原則として1日8時間、週40時間です。ダブルワーク(本業+副業)がどちらも雇用契約であれば、基本的にはこの枠を合算して見ます。
ここ、シンプルに見えて実務で一番つまずきやすいです。なぜなら、あなた自身が「本業は残業していないから大丈夫」と思っていても、副業の時間が足されると、あっさり法定枠を超えることがあるからです。
たとえば、本業が週40時間ぴったりの会社員で、副業として土日に各3時間(週6時間)の雇用アルバイトをするとします。本業の時点で週40時間が埋まっているので、副業の週6時間は「週40時間を超える部分」として扱われやすく、副業側の時間が最初から法定外になる可能性があります。
ここで出てくるのが、次のセクションで説明する割増賃金の負担や36協定の話です。
週の合計だけでなく、日単位でも超過が起きます。たとえば平日に本業8時間+夜に副業2時間(雇用)だと、単純にその日は10時間になります。これだけで法定内に収まらず、割増の論点が出ます。「副業は夜にちょっとだけ」のつもりでも、積み上がると意外と早いです。
「副業先での勤務は勤務時間外だから、本業には関係ない」という感覚、すごく分かります。でも、労働時間規制の考え方は「あなたの負荷」を見ます。だから、勤務先が違っても合算して見ていく発想が残っています。
その一方で、会社側が他社の勤務実態まで完璧に把握するのは現実的に難しい。ここに、制度と実務のギャップがあります。
補足:現場で回すコツは「完璧な通算」よりも、「危ない働き方になりにくい設計」に寄せることです。たとえば副業日を固定する、深夜帯を避ける、繁忙期は副業を一時停止するなど、ルールを作るだけでもリスクが下がります。
志賀佑一ただし実務では、毎日分単位で正確に追いかけるのは現実的に難しいことも多いです。
だからこそ、次の見出し以降で触れる「通算の対象範囲」や「責任の切り方」「管理モデル」の考え方が重要になります。


副業の労働時間通算で特に重要なのが、36協定(時間外・休日労働に関する協定)と時間外労働の上限規制です。ここ、いちばん混乱しやすいですよね。
なぜなら、36協定は「会社ごと」に作るのに、上限規制は「働く人の負荷」に寄る場面があるからです。つまり、会社単位の管理と、労働者単位の規制が二重にかかるような感覚になります。
よくある誤解は、「36協定は会社ごとだから、副業と関係ないよね?」という感覚です。たしかに、36協定そのものは各事業場ごとに締結・管理します。自社で延長させる時間については、自社の36協定の範囲内に収める、という運用が基本です。
一方で、上限規制のうち単月100時間未満や複数月平均80時間以内といった健康確保の色が濃い基準は、労働者本人の負荷を見ますから、本業と副業を通算して問題になる場面があります。
副業・兼業があると、日々の残業だけでなく「連続して働き続けていないか」という点も健康配慮の観点で重要になります。
連続勤務の考え方や、14日以上の連続勤務が問題になりやすい場面については、連続勤務14日以上は違反?労基法上限と実務対応を社労士が解説の記事を参考にしてください。
たとえば自社では月10時間の残業しかさせていない。でも、副業先で繁忙期に月90時間働いていたら、合計で100時間に近づきます。会社として副業の事実を把握していて、かつ長時間になり得る状況なら、健康面の配慮も含めて「何もしない」は危険です。



自社の残業が少なくても、他社の働き方と合算してラインを超えると、結果として法令リスクが出る可能性があります。
上限規制の数値は重要ですが、実際には「何を労働時間として数えるか」「休日労働が入るか」「深夜が重なるか」などで状況が変わります。数値はあくまで一般的な目安として捉えつつ、実際の判断は慎重に行ってください。
特に企業側は、過重労働を放置していると見られると、是正の対象になり得ます。
もし判断に迷う場合は、早めに社労士などの専門家へ相談して、会社としての線引き(許容範囲・届出の取り方・制限の仕方)を決めておくのが安全です。
割増賃金の論点に直結するのが、通算の「順序」です。行政解釈では、まず所定労働時間は契約締結の先後順で積み上げていく整理が採られています。ここ、ちょっとクセがあります。
なぜなら、一般の感覚だと「実際に働いた順」や「本業が優先」という発想になりがちですが、通算の世界では「どの契約が先か」が効いてくるからです。
イメージとしては、先に契約した会社(本業側が多いですね)で所定労働時間が週40時間に達していると、後から契約した副業先での所定労働時間は、最初から法定外労働として扱われる可能性が出ます。
副業先は「雇った時点で、枠が埋まっているのを知っていたはず」という発想です。副業先からすると、同じ3時間勤務でも割増が乗るかどうかでコストが変わるので、採用段階での確認が本当に大事です。
現場でありがちな事故が、「届出はもらっているけど、契約締結日が書いていない」「いつから副業を始めたかが曖昧」という状態です。これだと、割増賃金の負担関係や、36協定が必要かどうかの判断がグラつきます。
だから、届出書の必須項目として契約締結日を強くおすすめしています。
補足:実務では、届出書に「契約締結日」を書かせるのがとても大事です。ここが曖昧だと、責任の切り分けが崩れやすいです。
さらにややこしいのが、契約上の所定労働時間では枠内に収まっていても、日々の残業で枠を超えるケースです。
この場合は「どちらがトリガーになって超過を発生させたか」が絡みます。つまり、静的な契約順だけでなく、動的な日々の残業も見ないといけない。ここまで来ると、手計算で管理するのはかなり厳しいです。
だから次のパートで、割増賃金の計算ポイントや、残業が混ざったときの責任、管理モデルの発想を整理していきます。


ここからは、会社側が副業者を受け入れる・社員の副業を認める前提で、「現場が回る形」に落とす話です。割増賃金、残業が混ざるケース、管理モデルの使いどころ、そして健康配慮まで、実務で事故が起きやすい順に解説します。
割増賃金の論点は、「誰が払うのか」「どの時間が割増対象になるのか」で混乱が起きやすいです。ここ、担当者さんほど胃が痛くなるところかもです。
基本は、通算した結果として法定労働時間を超えた部分が法定外労働となり、割増賃金の対象になります。
ただし、副業の場合は「本業で残業していないのに割増が必要になる」「副業先が割増を払う構図になる」など、直感に反する形が出ます。
ざっくり言うと、所定労働時間は契約の先後順で積み上げます。先に契約した会社の所定で枠が埋まっていれば、後の会社の所定は最初から法定外になりやすい、という話でしたね。
副業先が「週末だけ」「短時間だけ」のつもりでも、本業が週40時間なら、その短時間が最初から割増対象になる可能性があるわけです。
副業先が「短時間のアルバイトだから大丈夫」と見込んで採用すると、実は全時間が割増対象になってしまう、ということが起こり得ます。
採用コストや時給設計に直撃するので、副業者を雇う側は特に注意が必要です。逆に、本業側が副業を認めるときも「副業先に迷惑をかける」構造が出るので、事前に説明やルールづくりをしておいた方がトラブルになりにくいです。
よくある相談の整理
注意:割増賃金の計算は個別事情で変動します。実際の対応は、就業実態や契約内容を前提に、給与計算担当者・顧問社労士とすり合わせるのが安全です。
さらに難しいのが、所定外労働(残業)が混ざったときです。所定労働時間の通算とは別に、残業が入ると「どちらの会社の残業がトリガーになったか」で割増の負担関係が動きます。ここ、イメージしづらいですよね。
ポイントは「最後に法定枠を超えさせたのは誰か」という発想です。通算の世界では、積み上げの順序が決まっていて、結果として法定8時間・週40時間を超えた部分を生んだ会社に、割増の負担や協定面の論点が寄ってきます。
「本業が今日は延びた」「副業先で突発対応が入った」など、日々の変動があると、通算管理は一気に難しくなります。特に、両方の職場で残業が発生する働き方だと、手計算・自己申告ベースでは限界が見えてきます。
しかも、残業は予定通りに起きません。繁忙・トラブル・引き継ぎ遅れなどで急に伸びる。すると、結果として「知らないうちに法定枠超え」になり得ます。



副業を認めるなら「残業が増えたらすぐ申告する」仕組みを社内ルールで作っておくと、トラブルの確率がかなり下がります。
私の実務感覚では、社員の副業を認める場合、「副業日は原則として本業の残業をさせない」「副業がある週は残業上限を下げる」など、運用での線引きを置く会社が多いと感じています。(もちろんケースバイケースですが)
完璧な管理を目指すより、事故が起きるパターンを潰すほうが回りやすいかなと思います。
とはいえ、会社が他社の労働時間を完全に把握するのは難しいです。そこで実務では、「届出制度を整備して周知し、合理的に確認できる仕組みを置いていたか」が重要になります。
逆に、制度があるのに形だけで、実態として確認も注意喚起もしていないと、「知らなかった」では弱くなります。ここは安全配慮義務の話にもつながりますので、後の健康管理パートで整理します。
この論点は個別事情で結論が変わりやすいので、社内ルール設計の段階で専門家を入れて整理しておくのが安心です。


副業の労働時間管理が難しいこと自体が、労働基準法改正の検討過程でも論点になっていた背景の一つです。
「他社の残業時間までリアルタイムで把握するのは無理」という現場の悩みに対して、厚生労働省が示しているのが管理モデルです。
これは、事後的に追いかけて整合を取るのではなく、事前に上限(枠)を決めて運用し、責任の所在をクリアにする考え方です。
副業が増えるほど、ここを理解しているかどうかで運用のしんどさが変わります。
(出典:厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」)
本業側の法定外労働時間と、副業側の労働時間を合計して、単月100時間未満や複数月平均80時間以内等の範囲に収まるように、双方で「上限(管理時間)」を先に決めます。そして、各社は自分の管理時間の範囲内で労働させる限り、他社の実労働時間を逐一把握しなくてもよい、という発想です。
もちろん、完全に免責される万能薬ではないですが、通算管理の現実的な落としどころとして提示されています。
補足:管理モデルは「何もしなくていい魔法」ではなく、事前設計と運用ルールが肝です。導入するなら、届出書や誓約書、勤怠運用までセットで考えるのが現実的です。
導入で大事なのは、ルールを作って終わりにしないことです。具体的には、(1)副業開始前に上限を合意する、(2)上限を超えそうな兆候が出たら早めに相談する、(3)定期的に再届出して情報を更新する、の3点がセットになります。
ここが弱いと、結局「気づいたら超えていた」になりやすいです。
管理モデルを採用するかどうかは、会社規模、業種、勤怠システム、社員の副業状況で変わります。導入が向く会社もあれば、原則的な管理で十分回る会社もあります。
ここは「無理なく続く運用」を基準に、必要なら専門家と一緒に設計するのがいいかなと思います。
副業の労働時間通算は賃金の話に注目が集まりがちですが、実務上は健康管理(安全配慮)が同じくらい重要です。副業で長時間労働になっていると、本業側の業務が軽くても、過労やメンタル不調のリスクは上がります。
なお、勤務間の休息確保については、副業・兼業が広がる中で法改正の検討過程でも重要な論点となっていました。
勤務間インターバルの考え方や、現行制度の中で企業が注意すべき実務対応については、勤務間インターバル義務化はいつから?実務対応を社労士が解説で詳しく整理しています。
企業としては、法令違反の是正だけではなく、「健康を崩してしまった」後の影響(休職、労災、紛争、職場の負担増)まで見据えないといけません。
副業の存在を把握していて、長時間になっていそうだと予見できる状況なら、会社として一定の配慮が求められます。逆に言えば、届出制度を整え、定期的に確認し、必要な注意喚起をしていた場合は、リスクを相対的に下げやすいです。
現場的には、「副業の事実を聞いて終わり」ではなく、勤務時間帯・睡眠を削っていないか・疲労の兆候を見ていく運用が大事です。
副業者を「ハイリスク群」と捉えて、面談や業務調整の優先度を上げるのは、トラブル予防として効果があります。
健康診断は、労働時間や契約形態により義務の範囲が変わります。副業先が短時間勤務だと法定の実施義務がないケースもありますが、深夜業など業務内容によっては別の論点が出ます。
特定業務(深夜、有害、重量物など)に該当する場合は、時間が短くても健康配慮の濃度が上がることがあるので注意が必要です。
私が現場でおすすめしているのは、
の3点です。
大げさに聞こえるかもしれませんが、これをやるだけで「放置していた」と言われにくくなります。
もちろん、プライバシーとの兼ね合いはありますが、労働時間帯の情報は健康確保と法令遵守のために必要な範囲として説明し、目的外利用をしない運用を徹底するのが大事です。
また、今回の労働基準法改正は提出見送りとなりましたが、副業・兼業に関する論点自体は、制度設計上の難しさから今後も再び議論されやすいテーマです。
だからこそ、制度が動いてから一気に対応するのではなく、届出の仕組みや上限の考え方、健康配慮の運用といった土台だけを先に整えておくことが、実務上は一番負担が少なくなります。
最後に、ここまでの内容を「明日からの運用」に落とします。副業の労働時間通算は、完璧な管理を狙うほど現場が疲弊しやすいテーマです。
だからこそ、最低限押さえるべき線を引いて、継続可能な運用にするのが現実的です。大切なのは、「知らないことはゼロリスク」ではない一方で、「全部を完璧に把握する」ことも現実的ではない、というバランス感覚かなと思います。
企業実務の4ステップ
副業運用を回すには、就業規則や届出フローの整備が重要です。
特に、(1)就業規則の副業条項、(2)副業・兼業届出書、(3)誓約書(秘密保持・支障なし・変更時の再届出など)は、実務の土台になります。これがないと、いざというときに注意・是正・制限をかけづらくなります。
就業規則の手続きや整備の考え方は、次の記事が参考になります。
副業の労働時間通算は、制度としてはシンプルに見えても、現場の運用では「契約の先後」「残業の発生」「上限規制」「健康配慮」が絡みます。
この記事で全体像を掴んだうえで、迷う点があれば、公式情報を確認しつつ、最終的な判断は専門家にご相談ください。無理のない設計にして長く続けられる形を一緒に作っていきましょう。
副業・兼業を認める場面や、副業を始める際に、特に質問が多いポイントをQ&A形式で整理します。制度の原則と、実務上の考え方を分けて確認することで、自社での対応イメージがしやすくなります。
副業が雇用契約(アルバイト等)の場合は、労働基準法38条の考え方から、本業と副業の労働時間を通算して判断される場面があります。一方、副業が業務委託の場合は原則として通算対象外になりやすいですが、実態が雇用に近い場合は注意が必要です。
業務委託は原則として労働時間通算の対象外ですが、契約名だけで判断されるわけではありません。業務の進め方や時間拘束、指揮命令の有無など、実態が雇用と評価される場合には、通算や割増賃金の論点が生じる可能性があります。
あります。本業の所定労働時間がすでに週40時間に達している場合、副業先での労働時間が最初から法定外労働として扱われ、割増賃金が必要になるケースがあります。副業先が割増賃金を負担する構図になることもあります。
36協定は事業場ごとに締結・管理しますが、単月100時間未満や複数月平均80時間以内といった上限規制は、健康確保の観点から通算して問題になる場面があります。自社の残業が少なくても注意が必要です。
他社の労働時間を完全に把握する義務は現実的ではありませんが、副業届出制度を設け、勤務時間帯や残業の有無などを合理的な範囲で確認することは重要です。把握・注意喚起・相談の仕組みがあるかが評価されやすいポイントです。
必要です。副業により長時間労働が疑われる場合、面談や業務調整などの健康配慮が求められることがあります。法改正が見送られていても、現行法上の安全配慮義務は変わらず、放置はリスクになり得ます。
副業・兼業の労働時間管理は、労働基準法改正の検討過程でも論点とされていました。改正案の提出は見送られましたが、健康確保や長時間労働是正の観点から、今後も制度見直しの議題になりやすいテーマです。
まずは副業の形態(雇用か業務委託)を切り分け、副業届出書で契約締結日・所定労働時間・残業有無を把握します。そのうえで、上限規制の考え方と健康配慮の運用を整理しておくと、実務が安定しやすくなります。
副業・兼業は、労働基準法改正の検討過程でも重要な論点となっていたテーマであり、法案提出が見送られた現在でも、現行法の運用次第でリスクが生じやすい分野です。
制度の考え方は理解できたものの、
と感じられる場合は、下記のご相談フォームをご利用ください。
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